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大阪地方裁判所 昭和44年(借チ)26号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕本件申立の要旨は、別紙記載の土地につき、防火地域の指定、附近の土地の利用状況の変化を理由として、別紙記載の賃借権について、堅固な建物所有を目的とするものに借地条件の変更を求めるというにある。

そこで本件において取調べた資料によると、

一、本件土地及びその附近は、近鉄上六駅表口に真近いため、古くから商業地として繁栄していたが、戦災を受けて建物が殆ど焼失し、一時焼野原となつていた。

二、相手方は、証券会社の社長をしているものであるが、大正の頃本件土地を買受け、戦時中、森崎某に賃貸していたが、戦災のため建物が焼失し、空地となつていたところ、相手方は戦後の昭和二二年頃、氏名不詳者に非堅固な建物所有の目的で賃借期間の定なく権利金一〇万円を得て賃貸し、賃貸借譲受人谷弘雄を経て、昭和二三年一月に申立人が賃借権を譲受け、同年四月八日相手方の承諾をえた。申立人は、本件土地に非堅固な建物を建て、肛門科の医院を経営している。申立人の賃借権譲受当時、本件土地については、既に、後記のように、防火地区の指定がなされ堅固な建物所有を目的とすることが相当であると言えないことはない状況であつたが、戦後の物資不足の頃で堅固な建物を建築できない状況にあつた。なお申立人は現在、木造モルタル塗亜鉛葺三階建の建物を所有しており、賃料は、昭和三九年一月から一月金三五、〇〇〇円となり、これを、毎月二五日に、その月分を三和銀行上本町支店の相手方の預金口座に入金して支払つていた。

三、本件土地については、昭和一一年四月二九日、市街地建築物法にもとづき、甲種防火地区に指定せられ(借地法第八条の二の防火地域の指定には右甲種防火地区の指定を含むものと考える)その後昭和二五年一一月二三日建築基準法第六〇条第一項によつて指定された防火地域とみなされた。

四、本件土地は大阪のターミナルの一つである近鉄上六駅の表口の交叉点のほぼ対角線の位置にあり、(昭和二九年頃仮換地)戦後の経済の繁栄につれて、附近は急激に復興、発展し、昭和三〇年頃から近隣には鉄筋、鉄骨の建物が建ちはじめ、最近では大部分がこの種の建物となり附近の土地の利用状況が変化した。以上の事実が認められる。

五、右の事実によると、相手方と氏名不詳者との賃貸借契約締結当時、あるいは申立人の賃借権譲受当時、既に本件土地につき防火地域の指定がなされていたけれども、当時、戦後の物資不足の頃であり、木造建築の可能性しかなかつたから、非堅固建物所有目的の賃借権が設定譲渡せられ、その後附近の土地の利用状況が変化し、現に借地権を設定するにおいては、堅固の建物の所有を目的とすることを相当とするに至つたものというべきであり、これを不相当とする事情は見当らないから本申立を認容するのが相当である。

六、次に他の借地条件の変更、財産上の給付等の附随条件について考える。申立人によると本件借地契約の残存期間は、昭和五三年四月八日と述べるが、昭和二三年四月八日という日は申立人が谷弘雄から譲渡を受けた賃借権について相手方の承諾を得た日であり、存続期間は右から三〇年を加えるべきものではなく、谷弘雄の前者の某が相手方から賃借した日を始期にすべきところ、右は明らかではなく、一方申立人は本件土地に鉄筋コンクリート造地上六階、地下一階の建物を建築する計画であるから、借地権の存続期間を本裁判確定の日から五〇年と定めるのを適当と認める。賃料については、相手方の意に反して借地条件の変更をするのであり、別紙の算定方法によつて算出した一月、金五三、九五九円をこの裁判確定の月の翌月から支払うことと改めるのを適当と認める。右のように借地条件が改められ存続期間も本裁判確定の日から五〇年と改められたのであるから、このような場合一般に更地価額の一〇%程度のいわゆる承認料を土地所有者に支払うのが当地方における慣行でありそこで本件の場合、別紙の算定方法により算出した金三二六万円の承認料を財産上の給付額として支払うのが相当であると認める。(林繁)

目録

(目的土地の表示)

大阪市南区上本町六丁目一六番地の二

宅地119.7m2(36.21坪)に対する仮換地

東平工区B一号の七、宅地82.97m2(25.1坪)

(借地権の表示)

右土地につき結ばれた賃貸権

1 当事者及び契約日

賃貸人(土地所有者)相手方と賃借人氏名不詳者との間に、昭和二二年月日下明賃貸借契約締結、その後、賃借権譲受人谷弘雄を経て、申立人が昭和二三年一月賃借権を譲受け、相手方は昭和二三年四月八日之を承諾した。

2 目的

非堅固な建物所有

3 期間の定

なし

4 賃料

昭和三九年一月から一月金三五、〇〇〇円で毎月二五日にその月分を三和銀行上本町支店の相手方の預金口座に入金して支払う。

(賃料の算定方法)

32,030,000(更地価額)−22,241,000(借地権価額)=9,789,000(底地価額)

9,789,000(底地価額)×0.06(適正利潤率)=587,340

587,340+47,220(44年度固定資産税及び都市計画税額)+12,950(管理費・賃料の100分の2)=647,510(賃料年額)

647,510÷12=53,959(賃料月額)(3.3m2当り2,150)

(承認料の算定方法)

32,630,000(更地価額)×0.1≒3,260,000

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